メールニュースでVPCこと『メルセデスベンツ豊橋新車整備センター』の見学ツアーを募集している情報を仕入れ、早速応募したのは7月の下旬。そして8月6日に参加して来ました。場所は豊橋市の神野埠頭で、ここには海外からの船で輸入車が陸揚げされていまして、メルセデスベンツもここに整備センターを設けているのです。
開始時刻は9時30分、少し余裕を持たせて現地には9時手前に到着出来るよう高速音羽蒲郡ICから国道1号、23号と走っていると、センターに近づくにつれちらほらとEクラスが目に入ってきます。ナンバープレートを見れば『神戸』『足立』『富山』などなど…豊橋へはかなりの遠征ですね。
センターの玄関口で、ヴィンテージなベンツがお出迎えしてくれます。
私の車もこのご先祖様とご対面。
今回の見学ツアー、対象はEクラスオーナーの40名(含、同伴者)でして、先日デビューとなった新型Eクラスを意識しての開催でした。
ここがレセプションルーム、プロジェクターとポスターが設置され、反対側にはメルセデスベンツグッズの販売品が並んでいます。
このようなグッズから、ポロシャツやキャップ、革製品などなどが陳列されていまして…。
その中には数種類、VPC限定の製品もありました。
9時30分の定刻通りに見学ツアーが始まり、主催者側の挨拶の後にAグループとBグループに分かれてプログラムスタートです。内容は大きく分けて『新型Eクラスの最先端ドライビングアシスト体験とメルセデスベンツの歴史を学ぶ』と『VPC施設内を担当者の解説と共に見学する』の2つで、Aグループが前者を、Bグループが後者のプログラムにまず参加となります。私はBグループなので施設見学からでした。
施設内はセキュリティの面と、整備中の車はカスタマーが購入済の車という点から写真撮影などはNGであり、参加された方の眼に焼き付けることとなります。
※覚えている限りのことをこの文面で解説しますが、後々この見学ツアーに参加される方はネタバレとなってしまうため読み飛ばして下さい。
まずレセプションルームから整備センターに扉を抜けると、100台以上の整備待ち及び整備済のベンツが施設内に溢れています。メルセデスベンツは生産工場がドイツのみならずその周辺ヨーロッパ諸国、南アフリカ、アメリカなどに点在しています。それらの車は輸出される際には一度ドイツへ集められて、港から船積みされることとなります。ドイツから日本へはおよそ1ヶ月半の船旅となりまして、この豊橋もしくは茨城の埠頭から陸揚げされるわけです。
豊橋は自動車の経済特区となり、いろいろな特例があるそうです。ナンバープレート装着前にはいわゆる『仮ナンバー』を付けて移送させますが、これは通常金属製のナンバープレートです。しかし豊橋ではプラスチック製のそれで、車体にうっかり傷を付けないように工夫されているとのこと。
ドイツからはるばるやって来るベンツは、船積み時に車が揺れで動いてしまわないように牽引フックでラッシングされています。また、バッテリーが上がってしまわないよう『トランスファーモード』に設定された状態で運ばれて来るのです。このモードを入れておけば最低限のバッテリー使用になるらしく、例えば時速40kmまでしか出ず、オーディオやエアコンは作動しません。また、キーレスも運転席のドアしか開閉しなく、これはトランクに入れてある車載工具の盗難防止も兼ねております。
整備センターではまず、陸揚げされた車の洗車から始まります。現地では鉄道で移送されることもありまして、ボディには鉄粉が付着していることがあります。そのため鉄粉取りの薬剤を散布してから全自動の洗車機(ガソリンスタンドにあるようなアレです)で汚れを落としたら、人の手で水滴を全て拭き取ります。ブロアーとマイクロファイバーのタオルを使用していました。
次は左右に大量の蛍光灯が配置されたレーンでボディの傷や凹みを入念にチェック、何かあればピンクの付箋を問題か所に貼付けて行きます。また、それと同時にそれぞれの車のオプション装備がオーダー通りにインストールされているか、あとはマニュアルや非常灯などの日本独自のものを車に組み込んで行きます。これらは分速110cmのとてもゆっくりしたコンベアに車を乗せて、ライン作業としてされていました。
続いては各部動作の確認などです。デモカーらしきS63は、油圧式のサスペンションを4輪独立で動かしていました。また、これも見学ツアー用に展示してある社有車にあらかじめ凹みとスクラッチを作っておいて、リペア作業を実演してもらえます。どのスタッフさんも大きな声で見学者に挨拶してくれます。
外装、内装のチェック&リペアが終わると、あとは車検場と同じ検査が待っています。スリップサインとブレーキ動作、スピードメーター動作の確認をしたり、下回りをハンマーで打音検査して、全て問題が無いと判断されたら仕上げコーナーへ。販売店へ向けて輸送するため、ボンネット、ルーフ、トランクに保護フィルムを貼付けて完成となります。
100名のスタッフで約100台を1日に処理するらしく、なかなか大変そうな作業でした。
ここまでが施設見学となり、一度レセプションルームへ戻ってグループ入れ替えになります。
夏場でかなりの暑さだったことから、水をいただけました。『ベンツの味がするかもしれない水』だそうです。
ここからはメルセデスベンツの歴史、そして新型Eクラスについてのパワーポイントを用いたプレゼンテーションです。セールス及びメカニックのトレーナーさんが司会となり、ベンツの誕生からドイツの地理、他メーカーのこぼれ話などなど30分ほど楽しませてもらえました。
特にドイツ本社やメルセデスベンツミュージアムなどのお話は、ちょうど1年ほど前に現地を訪れている自分にとっては懐かしいものでした。
そして屋外での新型Eクラス体験イベントとなります。用意された2台のEクラスに参加者が同乗して『自動駐車』、『オートドライブ』、『飛び出しなどに対する緊急回避』、そして『緊急自動ブレーキ』の4つの機能を体感しました。
私のW210にはそれらの機能はもちろん搭載されていないので、どれも興味深いものとなりました。先日の試乗では『オートドライブ』のみ体感しています。
ドライバーはベンツのスタッフさんで、参加者は4名同乗のフル乗車。私は後部座席のセンターに着座となりました。あまり後部のセンターに座ることは無いかもしれませんが、私の身長が小柄なことを差し引いても居住性は決して悪くありませんでした。
むしろ最後に体感した『緊急自動ブレーキ』は安全面などで時速35km程度からとは言え、恐らく一番迫力のある席に座れたと思っております。
おまけ、阪神タイガースカラーのスマートが展示してありました。
最後に、若干の自由時間がありまして納車式用のブースで記念撮影やEクラスの質疑応答などなど、思い思いに時を過ごしました。画像右側の大きなキーは、このVPCで納車式を行った際にこれを持って愛車の前で写真を撮るそうです。
納車式用のブースに展示されていた車はS550カブリオレ、もちろん座ることも出来ました。もう豪華絢爛とはこのことですね、こんな車でドライブしたら景色も違って見えることでしょう。でも乗り手のファッションなども問われそうです…。
何やら恐ろしいラッピングをしたAクラスも展示されていました。Aクラスでも毒々しいのに、これがSクラスなんかにデコレーションされたら恐ろしい以外何ものでもありません。
先ほどプレゼンテーションを担当されたトレーナーさんとも会話する機会がありまして、ドイツ本国でのお話や自動車評論家の清水さんのお話(私事ながら、昔に雪道体験イベントで清水さん運転の車に乗せていただいたこともあります)など貴重な内容を伺うことも出来まして、あっという間の3時間でした。
今回の戦利品(キーケースと黄色い熊はお買い上げしたものです)。
何気にネックストラップが嬉しかったですね。このVPC見学ツアーは不定期で開催されているため、またいつの日か機会があればもう一度参加してみたいです。
おしまい。