40代の日々徒然

ほのぼの夫婦と保護猫2匹の備忘録

【Roadster】純正の味わい

 ユーノスロードスターを購入した際にショップの社長から受けたアドバイスは『古い子だから始動時は暖気をしっかりすること』。
幸いにもリアにぶら下がっている純正マフラーは4Cと比べれば静かなもので数分の暖気程度であればそこまで近隣の目を気にする音量で無く助かっています。
私がもっとサーキットや峠を攻めるカーガイであればエキマニ~フロントパイプ~スポーツ触媒~マフラーと全てをリプレイスするでしょうが専ら駐車場で我が子を眺めニヤニヤし、洗車しながらボディラインにニヤニヤし、近所のスーパーやカフェまで運転してニヤニヤし、たまに山道まで出かけるも冗談抜きでユーノスさんが今時の軽四と変わらぬ加速しかしなくて煽られているのではないかと心配してしまう様では純正で十分だったりします。
10~20代のクルマいじり大好き房だった頃は若気の至りで走り屋のバイブルこと『オプション』を愛読しては効能不明なパーツを手あたり次第着けていたのは懐かしい思い出。1台目のECR33スカイラインに至ってはコンバーターを車載して何故かインダッシュモニターでスーパーファミコンを楽しめる仕様になっていました(笑)
走りに出掛けた山奥のパーキングでエンジンをかけながらリアシートに身を沈めて没頭する『スーパーマリオカート』こそ無意味の極みだったなぁ。

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 ここ数年、90年代のスポーツカーがやたらと神格化していますよね。市場価格が跳ね上がり、スカイラインやシルビア、RX-7なんてもう気軽に買えなくなってしまいました。そもそも修復歴有りの個体が当たり前みたいな感じですし、当時の技術で直された事故車が果たしてどこまで忠実に修復されているのかと思うと怖くてとてもプライスボードのお金を出せません。
当時はいじってナンボの世界を生きてきた国産スポーツカーも現代ではフルノーマルやモディファイしてあっても車高を少し落としてブランドホイールを履いた程度がもてはやされている気がします。かく言う私も将来的にはユーノスロードスターを純正ホイールに戻して乗りたいなぁとの思いを持っています。今はせっかく新品タイヤを奢ってくれたショップ社長のご厚意に感謝して現状のホイールでタイヤを履き潰すまで楽しみますがね。
私が歳をとったこともあるでしょうが、やはりフルノーマルこそがデザイナーやメーカーの作り上げた完成形でありそこから何かを闇雲にいじる事自体が見た目や乗り味のバランスを多かれ少なかれ崩してしまうのだなと。尤も、メーカーとしても様々な規制値の中で割り出したエンジンスペックであり車高であるため、しっかりした理論の元であれば全てにおいてただただバランスを崩すことには当てはまらないのは存じていますが…。そうなるとクルマの完成形は国産であればNISMOや無限、海外勢だとAMGと言ったメーカー直結のワークス系チューンが一番なのでしょうか。

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 百聞は一見に如かず、例えばステアリングホイール
実はユーノスロードスターを探している間に考えていたのはナウなヤングたるもの『ナルディのウッドステアリング』は絶対条件であったこと。逆にMOMOの本革ステアリングは一番避けたい所謂『ヘボい』地味なやつだったのです。ええ、当時の私を引っ叩いてやりたい。
それがなんてことでしょう、いざ私の手元に来たユーノスロードスターは見事にこのMOMOステアリングが着いていました。納車前はこいつを速攻でリプレイスしてやると思いつついざ実物を見てみると、これが実にインテリアとマッチしているのですよ奥さん。さらに握ってみれば今時の極太サイズのステアリングからすれば華奢とも言える、なんか私のアレみたいな細身のステアリングがなんとも手になじむ…製造から30年以上の月日が経ったにも拘わらず未だにしっとりとした手触りであり、エンボス加工されたEUNOSの文字が控え目ながらも良い味を出しているじゃあありませんか。

 さらに例えばシート。
実はユーノスロードスターを探している間に考えていた事はナウなヤングたるもの『RECAROなどのバケットシート』は絶対条件であったこと。逆に純正のファブリックシートは一番避けたい所謂『ヘボい』加齢臭漂うやつだったのです。ええ、当時の私を蹴り飛ばしてやりたい。
それがなんてことでしょう、いざ私の手元に来たユーノスロードスターは見事にこの純正ファブリックシートが着いていました。納車したら速攻でリプレイスしてやると思いつついざ乗り込んでみると、これが実にフカッとした私のお腹周りみたいな感触で思わず笑みがこぼれるのですよ奥さん。さらにさらに腰痛持ちの私の敏感なところをしっかり包み込んでサポートしてくれる作りで、4Cでは30分で腰とドライバーが悲鳴を上げるのにこいつは2時間乗っても大丈夫…製造から30年以上の月日が経ったにも拘わらず未だに張りがあってシンプルなデザインも善き、雨染みこそあるけれどきっと掃除すれば取れるでしょうし良い味を出しているじゃあありませんか。

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…とどのつまり、純正ってパネェな。
幸いにもユーノスロードスターに関してはレストアプログラムをメーカーがスタートしたため純正パーツも割高ながらある程度は購入出来ます。さすがに経年劣化によるくたびれた感じが見え隠れするインテリアも、ディーラーで何点か注文してDIYしちゃおうかなって思えるのも当時の走り屋が持つ『気合いとちょこっとの度胸』でなんとかなるシンプルなクルマの構造からでしょうね。
あ、私は何かすると必ず最後の組付けで外したはずのネジが余っていました。
シートベルトのキャッチが香ばしく劣化しているから、ここはすぐにでも変えてしまいたい。ヘソクリ握りしめて今からディーラーへ行こうかな。

MAZDAとは話が逸れるけれども、日産のワークスであるNISMOオーテックが統合するらしいですね。若かりし頃はECR33>ECR33>BNR34と乗り継いだスカイラインヲタクな私にとってNISMOと言うブランドは世のLouis VuittonやROLEXと並ぶような輝かしい名前でした(笑)
流石にNISMOロゴのTシャツは持っていませんでしたが。オーテックはNA仕様のRB26を搭載したスカイラインやシルビアのヴァリエッタなど少し特殊なモデルを生み出していた玄人好みの会社って認識だったかな。とどのつまり結局のところ私がクルマに最も情熱を注いでいた時代が実のところクルマ業界としては最もアツかったわけであり今は若者のクルマ離れが深刻化はもちろん、給与水準が全く上がって来ないためクルマへの贅沢が出来ない世の中にシフトしてしまった中、メーカーが生き残りを賭けたシビアな戦いをしているのでしょう。
20代の頃にそれこそ総額で限りなく4桁諭吉近くをクルマに散財した私、世帯を持った今でこそやり過ぎたと痛感しているけれどそれでも90~00年代のスポーツカー全盛期に、またガソリンがリッター100円程度だった頃にクルマバカ出来た事は良かったとつくづく感じております。


おしまい。