40代の日々徒然

ほのぼの夫婦と保護猫2匹の備忘録

【HONDA】 シビックtypeRが熱かった

 イギリス生産であった先代モデル(FK8)は吊り上がった怒り目で睨みを効かし、さらに屋根に角、トランクに巨大な羽が生えたあまりにガンダムチックな佇まいから個人的には『少しヤンチャ過ぎ』たデザインで自分には似合わないかなぁ…と見ていましたが、先日フルモデルチェンジしました2022新型モデルは艶やかとは違うけれど、あっさりとまとまったスタイリングのポイントポイントにホンダの至宝こと『TYPE-R』のオーラが散りばめられていまして国産現行モデルの中で珍しく『嗚呼、コレいいな』と思えた1台であります。

所詮はウンチクしか語れないスペック房の戯言としてのブログになってしまい恐縮ながら、昔々の私が学生の頃はEK9のシビックとDC2のインテグラあたりがホンダのスポーツモデルとして峠や大阪環状あたりをブイブイ言わしていた訳でして、これらって学生の身分であっても頑張って頑張って頑張ってバイト代を貯めれば新車だって行けてしまうくらいで(当時で本体価格がシビックで約220諭吉、インテグラで約230諭吉程度)、とどのつまりお値段以上なお買い得モデルでした。
尤も当時はFRこそスポーツカーだとか、FFは曲がらないとか、NAエンジンは馬力上げるのに苦労するもんね、なーんて周りの偏見とバイブルであったオプション誌や頭文字Dへの崇拝心に満ちあふれたレビューを参考にしてしまい、候補に挙がらない車種でありました。出来ることなら当時の自分をぶん殴ってやりたい…。

20代までの私はECR33スカイライン⇒ECR33スカイラインBNR34スカイラインGT-RとRBエンジン信者とも受け取れるクルマ人生を歩んで来ました。まだS2000が新車販売されていた時代に旅行でぶらり立ち寄った浜松のホンダディーラーでS2000の後期型を試乗させてもらった経験があり、助手席から熱い営業さんが「いまVTEC入ってます!ほら、クワーンと行きますよね!ね!!」と興奮気味に教えてくれるもそりゃあエンジンいじってハイカム入れたターボ搭載のRBエンジン乗りだった身からすればVTECの切り替わる瞬間であれどそこまで劇的で無く、結局のところホンダエンジンの良さを理解せぬままの人生だったのでした。

 さて、前置きが長くなりましたが今回のシビックTYPE-R、FF最速の称号をもぎ取るがためにメーカーが全力を注いだこと、そして来たる2025年問題を目前にしてガソリンエンジンでの最終モデルになること、ホンダのスポーツセクションを支えていたS660とNSXの生産終了、S2000復活の噂が未だに現実味を帯びない中においてエンジン屋と称えられた世界のホンダが2020年代に世に送り出す渾身の1台として仕上がっていますね。

冒頭にも話しましたプロポーションはえぐみ、毒身が薄れた中で絶妙な具合に柔らかな曲線とエッジが共生しています。正直なところフェンダーの張り出し具合においては個人的には『予想以下』かなって感想を持った第一印象であれど、流石に1,890mmもある全幅は私の4Cよりも更にワイドであり膨張色のチャンピオンシップホワイトで一層の逞しさを醸し出していました。このチャンピオンシップホワイト、昔はもっとクリームっぽい色合いだったのでは…と感じましたけど当時をご存じの方いかがでしょうか?

今回のTYPE-Rにおいては工場出荷時の素の状態で既にサイドに備わるガーニッシュやリアウイングなど空力パーツが付いていてオプション関係はカタログを拝見する限りほとんど用意されていません。ETCやナビまで標準とあって強いて言えばフロアマットが別売りなくらいと、まあ拘りが強ければカーボン製のリアウイングを選択するくらいでしょう。275,000円は高価に感じるでしょうが、スバルのWRX STiでオプションだったドライカーボンリアスポイラーが当時363,000円もしたためそれを見ればほぼ妥当な価格設定かな。
そうなると税込み4,997,300諭吉の車両本体に登録諸費用などを含めて大体550~580諭吉くらいがこの新型シビックTYPE-Rを手にするコアな価格帯になって来ますね。
20年前のEK9時代と比べればお値段2倍以上でどうしても『ゥフゥッ!!』と声が詰まりそうになります。シビックは他社で言うカローラやサニーの様な所謂大衆車としての成功を収めているモデルなだけに開発コストや性能までしっかりと理解していないとクルマに興味を示さないパートナー、又は家族からの支持は非常に難しいところであるかもしれませんね。現にレクサスIS300であれば本体だけで見れば4,810,000円でTYPE-Rと同クラスな価格レンジになります。これがEK9当時であれば、例えば同じような車格でGTOの内山田教頭が愛してやまなかったトヨタクレスタの最下位グレードであっても2,330,000円であり、EK9よりも高価だったとなれば当時のTYPE-Rが安すぎたのか、今のTYPE-Rが高す過ぎるのか…。

カタログで仕様に目を通すと前述のナビは標準装備であり、また運転サポートシステムも充実していまして昔のカミソリかの様な走りにだけ特化したクルマではない、より人間に寄り添ったものへと進化していますね。果たしてこれが必要か否かは乗り手次第。ただ私が仮にオーナーとなるのであれば運転サポートで電子制御が増えてしまうくらいなら、ここは無しでよいかな…その分を本体価格の引き下げなどに当ててしまえば、あるいは他の走りに関するセクションにもっと投資しても…と。

 今回のモデルも先代と同じく限定車でなくともシリアルナンバーが刻印されたプレートがダッシュボード左端に貼られています。これはオーナー心として嬉しいだけでなく、万一の盗難に対しても一定の効果を期待できそうで羨ましい。鮮やかなレッドカーペットと深紅のスポーツシートも羨ましい。夏場は熱くて触れられない金属製シフトノブも懐かしい。今日の流れからして液晶メーターは致し方無いかな、イエローのメーター針はしっかり再現されていますね。19インチホイールはブラック仕上げとなっていて真っ赤なキャリパーが引き立っています。ここはもしもホワイト仕上げのホイールも選択が可能であったなら往年のTYPE-Rへのオマージュとしても喜ぶファンが多かったかも。とにかくトータルで見ればガソリンエンジン最後であろうTYPE-Rとして五感を…いや購買意欲を刺激されます。
私が5年くらい前に購入したスバルのWRX STiはちょこちょことオプションを付けて総額500諭吉ぎりぎり切りの見積であったことを思えば、あと+50諭吉でこのTYPE-Rになるのであれば喜んで追い金しちゃいます。

 さて、ここからは実際に実車を初めて見たディーラーで聞いたお話。
まず私が住んでいる県のディーラーでは既に260名以上の購入希望者が順番にオーダーを入れている状況でありこのままの生産体制で行くと今すぐ注文を入れたところで納車は2025年夏ごろになります…と。また、こんなご時世とあって生産ラインに関しても非常に限られていることで規定台数に達し次第、近々注文すら停止もしくは打ち切りになると通達が来ているとのこと。
そうした内容を踏まえ、モデルチェンジせずこのまま2025年を迎えることがほぼ確定していて限定車の類も期間内に作り出す台数を考えれば恐らく出てこない、とにかく欲しければ今すぐアクションをって話でした。ただ、このモデルは完全に売り手市場なので何一つ営業プッシュをされる訳でなくて『よければどうぞ』って今まで感じた事の無い程のドライな説明を受けたのでありました(笑)
過去数回入ったホンダではボロボロのボルボで行ったら何も聞いていないのに「FITならすぐに登録かけて乗り出せます!」とかS660を拝みに行った時でさえ「生産終了でモノが無いからなんとか新古車引っ張って来ました!こいつ明日にでも売れちゃいます!」って言いながら数カ月は店内に飾ってあったなど、良くも悪くも勢い重視なトークで攻め立てられたので(笑)

 …と言う訳で、どうしても紅い玉座に座って走りを味わいたい気持ちが抑えきれずに気づけば試乗申込をしていたのでした。
結論から先に言いますとすっっっごく良いクルマで買って絶対に損はさせない1台でしょう:-)

試乗まで少し時間があったため今一度エクステリアから眺めてみますと、やはりフェンダーモッコリ具合は大人しい程度の仕上がりで、ここらは国産で言えばGRヤリスの方が余程アグレッシブだと感じられます。それでいての全幅1,890mmなのでキャビンを含めて全体的に大きいクルマであります。全長4,595mm x 全幅1,890mm x 全高1,405mmはホンダのセダンとして今やご立派なサイズ感になりました、お話によるとインサイトとプラットフォームが同じらしく、そう思えばかつてのCセグメントだったシビックが成長した感慨深さ。リアハッチを開いてみると荷室も必要十分。更にリアシートを倒せばマットを敷いて寝れるんちゃうかと思える程ですよ。

 ここからは気になる契約への道のり。
私が訪れた販売系のディーラーは先日と同じくやはり260名強のオーダー待ちを抱えています。オーダー待ちと言いますのは、毎週ディーラーとして発注をかけられる台数が決められておりまして例えばこのディーラーは現在週に30台のタイプRをメーカーに発注可能です。これはメーカーの増産減産によって左右されるためあくまで『現状』であり例えば今後また工場の停止であったり半導体不足による納期遅れが発生したならば減産へ振って来るでしょう。
そのためザックリと計算すると260台のオーダー待ち÷週30台=9週目でのオーダー⇒今が10月頭だから12月にオーダーとなります。
さらにオーダーを入れてから納車までは今の段階で2年半の待ちとアナウンスされていますので2025年の5月くらいが納車目安ですね…って、めっちゃ先じゃん。それでもランクルなんて現在4年半待ちなんて言われています、そう思えば可愛い待ち時間なのかも…?

メーカーアナウンスでは2025年問題がある以上、生産可能台数を逆算すればメーカーから受注終了の宣告を受けるのは遅くとも年内、早ければ次月くらいになってしまう可能性すら否定出来ないのではないでしょうか。一応の補足としてはオーダーはあくまで『生産枠』の確保になりますためボディカラーによっては注文出来ないなどの制約は発生しないと教えてもらえました。私が伺ったディーラーでは注文を入れる際には手付金として諸経費分を請求しているそうです。この額が30諭吉。納期が2年半と修行僧でも煩悩で泣きそうな長さであっても、オーダーを入れてしまうと基本的にはキャンセル不可となります。特殊な事情(受注者が死亡、重篤な病気によって運転が出来なくなってしまったなど)でない限りは責任を持って迎え入れてねってお話。
更に突っ込んだお話で言えば、このタイプRは購入しても損することはまず無いと太鼓判を押されました。先代のタイプRオーナーさんは買取見積もりを取ったら600諭吉を提示されて、そのまま新型のオーダーを入れたそうです。今回に関しても『ガソリンエンジン最後のVTECエンジン』となれば将来的な価値と希少性は保証された様なものかと。
当たり前ながら新車がやって来るため経年劣化などによるメンテナンスコストも不要であり安心感も中古のそれとは段違い。

 試乗した感じはとにかく乗りやすいの一言。
元々がトルクフルなのでMT車でもエンストの心配などほぼ皆無。シフトノブは相当にカチッとしていて手首のスナップでコクコク入ります、流石にロードスターよりはストローク長めだけどもシフトチェンジが楽しくなる操作感ですね。ステアリングのアルカンターラに関して言えば絶対にヤレて来るでしょうが、そんな時はステアリングを交換すれば良いだけの話で特に大きな障害では無いですし液晶メーターは高解像のモニターで自然な仕上がりでした、もちろんイエロー針も。加速はスポーツモードでも快適で、R+に入れてひと踏みすれば速度と共に口角が上がってしまいます、スマイリー。試乗はたかだか10分程度でしたが上まで回して良いとのお許しを貰えたことでVTECの片鱗を見れたのでした。エンジンがターボで純粋に当時のNAエンジンとは異なり、更に馬力がすごいので上での強烈な伸びはあまり分からずとも2Lから絞り出す330馬力はステキすぎました。

 こんな感じで私も欲しいなって素直に直感出来た至宝の1台です。将来を保証された国産の戦闘機となれば鼓動も高鳴ります(笑)
今まで日産のRBエンジン、スバルの水平対向を乗っていた身としてホンダのVTECも私がハゲ散らかしたジジィになった時にウンチクを語るクルマ歴に入れたいのは山々であります。
強いて問題点を挙げれば輸入車程のセクシーさが無いのが大きく、嫁様がどうしてもウイングが好きになれない(ここは私も同意見、あとリアワイパー)こと。


それだけですね、あとは今すぐにでもハンコと30諭吉を握りしめてディーラーへダイヴしたい:-)
一般には長すぎる2年半も待ち時間は逆手にとれば資金調達期間と取れば良いですしね。

言っても悩んでいる期間はあまりありません。
「人生は選択肢の連続だ」と某アニメキャラがドヤ顔で私に語りかけて来ます、ポルシェの新車は買えないけれどタイプRならなんとかなるしなぁ。って矢先に今日は夫婦でオーダーメイド布団を買って坂道グループくらいの諭吉レンジャーが旅立ちましたが…。
まあ週中は仕事で忙殺される勢いの忙しさですから、週末のF1鈴鹿グランプリの際にでもサーキットで熟考したいと思う次第です。
いま悩んでいる方は、早期受注終了で後悔しないためにも家族会議のプレゼンを今すぐ立てておくことを強くおススメします。


おしまい。